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子どもに自己決定権はあるか
2022.10
日本生活介護
功利主義の提唱者であるJ・S・ミル(「自由論」1859年)は自由主義の条件を次のように示している。
「判断能力のある大人なら、自分の生命、身体、財産などあらゆる〈自分のもの〉にかんして、他人に危害を及ぼさない限り、たとえその決定が当人にとって不利益なことでも、自己決定の権限をもつ」(加藤尚武「現代倫理学入門」講談社学術文庫 1997年)
簡単に言えば、「判断能力のある成人」は自分の所有物(自己の身体を含む)に対して、他人に危害を加えない限り自己決定権があるということだ。
だから、子どもには自己決定権がないと仮定される。そして、本人に判断能力がない場合は、本人の最善の利益を代弁する人に決定権を委ねる。これを代理決定という。代理決定は子どもだけではなく、認知症高齢者などにも適応される。自己決定能力がなければ犯罪もまた免責される。
通常は子どもの最大の利益を代弁する存在は親であるとされるが、子どもの最善の利益を守らなければ、親でも代理権者にはなれない。